「金と銀」フランツ レハール作曲
Conductor 星 嘉裕
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「金と銀」は1902年ウイーンのゾフィエンザールの舞踏会で、レハール本人の指揮で初演されました。舞踏会のテーマが「金と銀」であったことから、天井には金の星が輝き、壁には金と銀の装飾が施され、金と銀を配した衣装が会場でたいへん映えたと言い伝えられているそうです。
曲の構成等は、専門誌の記述にお任せするとして、ウインナーワルツについて少々見聞きしたことについて書いてみたいと思います。 私はワルツという曲は、1拍目にアクセントがあると思っていました。学校で習ったような記憶があります。これは部分的に誤りの様です。2拍目にアクセントをつけるとこの「金と銀」のようなウインナーワルツ風になり、3拍目を強めに入り次の小節の1拍目のタイミングや強弱で音の流れが推進する雰囲気になるとの音楽専門家の話です。 オーストリアのウイーン会議で披露された事から、名づけられたウインナーワルツですが、ウイーン地方にあるワルツの「訛り」なるものが存在するらしく、評論家の方々の中には、ウインナーワルツはウイーンの人でなければ理解できず、ワルツを踊ろうとすれば、ウイーンのバレエ団に入らなければならないと言う方もいらっしゃるそうです。2拍目が入るタイミングが若干前に入る(ズレた)曲も多いらしく、3拍目のタイミングが少し空く曲、このほかにも2拍目、3拍目のタイミングは微妙に前後に動く場合もあるようです。それは曲中のメロディラインによって異なるとの記述もあり、つまり規則性がない・・そのため地元の人たちでなければ分からないウイーンの「訛り」というワルツの表現があると感じています。 オーケストラの演奏を聴いていますと、何となく感じる部分もありますが、私には、何度聴いても感覚的に理解することは難しいと感じています。 指揮者がこの状態ですので、これからの練習では、メロディを弾くみなさん、ハープのパートを弾くみなさん、ワルツの流れを作る低音部のみなさんに、いかに音の流れを感じるように弾いて頂くかを考えて練習に臨みたいと考えます。 テンポが、序章、第1から第3ワルツ、コーダと微妙に変わります。唯でさえ揺れるタクトがさらに揺れるとおもいますが、演奏会のテーマに合うと選定されたこの曲、明るく、華やかな雰囲気を持っている「金と銀」が今年のステージで必ず楽しく弾ける曲になってゆくと確信しています。 |