立川マンドリンクラブ会報 第75号2022.04.24発行
プログラムの曲解説文から
星空のコンチェルト
 藤掛氏は1949年に岐阜に生まれました。1977年の国際エリザベート王妃音楽コンクール作曲部門において、管弦楽曲『縄文譜』でグランプリを受賞後、TV、映画音楽等でも活躍しています。
 マンドリンのための優れた作品を数多く作曲しており、当クラブでも藤掛氏よりの献呈曲『組曲 紙すきの歌』他、多くの曲を演奏してきました。
 『星空のコンチェルト』は、1996年初演され、近年、数多くの団体が取り上げる人気曲です。清らかで美しい第一の旋律がマンドリンによって奏でられ、すぐにマンドラ・チェロによる情感あふれる第二の旋律が、マンドリンのシンプルで美しいオブリガードと共に現れます。続くマンドリン・チェロ・ギターのソロから転調・変奏を繰り返し、やがてフーガが始まります。
 コンチェルトの名の通り、各パートの協奏はドラマチックに盛り上がり、やがて冒頭の清らかなメロディが、今度はfffで再現されます。再び、転調・変奏を繰り返し、最後に感動的なエンディングを迎えます。


初秋の唄
 桑原氏は1946年に神戸に生まれ、神戸商科大学(現兵庫県立大学)でマンドリンクラブに入部しました
 クラブの指導者だった比留間きぬ子に最後の愛弟子として師事した後、1969年卒業と同時にプロの道を目指し、日本を代表するマンドリン奏者・作曲家となりましたが2003年に病で亡くなりました。
彼は、生涯46曲の作品を残しましたが、『初秋の唄』は1989年に作曲され、1996年ドイツのフォクト社から出版されました。
この曲は、日本の初秋の情景をスケッチしたものです。ギターによる雨だれをシンボル化した描写に始まり、やがて秋の収穫をさえぎる野分けがやってくる。一人の農民が来たる収穫祭のための歌をうたい始め、それはやがて周りの人々にもはっきりと聞こえるようになる。
 人と自然の共生をスケッチしたこの曲は中央大学、世界で演奏されている作品です。

参考:[mixi]初秋の唄-中央大学マンドリン倶楽部 桑原康雄(1946-2003)Kuwabara.Yasuo