立川マンドリンクラブ会報 第66号2018.10.27発行
トレモロ考
Conductor 高津 良幸
 マンドリンを始めてから30年間以上、私はナイロン製の白ピック(いわゆる久保田ピック)を愛用してきました。ドイツ人奏者の柔らかい音に憧れて厚手のゴム製ドイツピックを使った以外は、全く替える気などありませんでした。
 特にべっ甲は滑るし、手汗をかく私は絶対使わないと思っていました。それが昨年からべっ甲のピックを使うようになって、もう白ピックには戻らないだろうなと思います。
 替えたきっかけは、私の楽器の制作者が「ドイツピックじゃないピックで弾いてほしかったなぁ」と言ったと伝え聞いたことです。直接聞いたわけではないですが、「ちょっとした一言」で私はピックを替えたのです。
 今回、私の「トレモロ考」をお伝えしたいと思います。皆さんにとって「ちょっとした一言」になったら嬉しいです。平行奏法がいいとか、手首を曲げてやる方がいいとか、あまり熱くならないで下さいね。どちらもできた方がいいですよ。それとはちょっと違う話です。とにかく質問があれば、いつでもどうぞ。
○弦と弦の移動がスムーズなトレモロ
○弾いている間にピックがずれにくいトレモロ
○安定感のあるコントロールされたトレモロ
 以上、三点を意識した、ちょっとしたコツみたいなものです。

Ⅰ図 本来は2本ずつ弦があります。
D線をトレモロするときのピックの軌道を示します
Ⅱ図 アップの時はG線に、ダウンの時はA線にピックを当てるように (昔は私もこれが良いと思っていました。今でも重音はこれで弾いてます)
*これだとピックが安定しないで、指からずれていく。
Ⅲ図 榊原喜三先生はこのように弾いているそうです。私は名古屋の先生のお店で、目の前で弾いていただき、詳しくコツを伺いました。Ⅱ図より軌道を短くしても安定するし、力も入りやすい。
*アップ・ダウンの単打だと、弾きづらい。
Ⅳ図 私はダウンは下の弦に当てます。アップは上の弦に当てない、というか上の弦の上空を通過する。そのために手の角度を少し変えて、手の平が少し見えるように。
*アップ、ダウンの単打も基本この動きでやっています。