立川マンドリンクラブ会報 第54号2015.10.10発行
カレリア組曲op.11より        
第3曲『行進曲風に』(ジャン・シベリウス)     
Conductor 初山 高志
 1893年、カレリア地方の13世紀から19世紀までの歴史を7つの場面で描く野外歴史劇のための音楽として作曲されました。その中から、『カレリア』序曲op.10と、3曲の『カレリア』組曲op.11に絞られて現在に至ります。『カレリア』組曲は、第1曲の「間奏曲」、第2曲の「バラード」、そして、第3曲の「アラ・マルチャ(行進曲風に)」から成ります。

 さて、「カレリア地方」ってどこかといいますと・・・世界地図を見ていただくとわかりますように、フィンランドは東側でロシアと接しています。このフィンランドの南東部におけるフィンランドとロシアとの国境を跨ぐ地域一体(フィンランドの首都、ヘルシンキの北東、かつてのロシア帝国の首都、サンクトペテルブルクの北)がカレリア地方のようです。 東方教会の影響を強く受けたカレリア地方は、フィンランド人にとって精神的な故郷とも言われていて、カレリア地方独特の文化を残しています。『カレリア』組曲や交響詩『フィンランディア』は、シベリウスがカレリア地方の風景から着想を得て作曲されたものと言われています。

 このカレリア地方は、多くの湖や沼を有する起伏の少ない森林地帯です。地図を見ますと、まるで高級和牛のサシ(脂身)のように湖や沼が存在しており、地面よりも湖沼の面積の方が大きな、フィンランドの原風景ともいえる地域です。このように多くの湖や沼がある「ムーミン」のふるさと、フィンランド。一体、いくつの湖沼が存在するのでしょう?・・・その答えは、「わからない」だそうで、幅が200m以上のものだけでも50000をゆうに越えるそうです。フィンランドといえばサウナの本場。湖畔の別荘のサウナで汗をかいた人が、湖に飛び込む・・・あれだけ多くの湖や沼があれば、こんな光景もうなずけます。
 余談ですが、国名の「フィンランド」は英語やスウェーデン語です。フィンランド語で「フィンランド共和国」は、「Suomen tasavalta(スオメン・タサヴァルタ)」、通称 は「Suomi(スオミ)」で、『沼と湖の国』という意味だそうです。