立川マンドリンクラブ会報 第50号2014.10.18発行
楽しみもう一つ・・オカリーナ    Mandola 渡部 玲子
 オカリナは土で作られた笛で、素朴で温かく透き通った音色が魅力的な楽器です。壺状の本体に吹き口といくつかの指孔があるだけのシンプルな楽器なので、誰にでも簡単に音が出せて、簡単な曲ならすぐに演奏できるようになるのも魅力の一つです。
 出会いは地域の初心者講座への参加でした。講座終了後に有志でサークルを作ったのがきっかけ。毎月 2 回、10 人ほどで合奏練習を楽しんでいます。途中休会、休会・・・やめよっかなぁ??の時期もありつつ細々と・・・で、気付いたら 10 年、あっという間でした。
 オカリナの歴史は、古くは紀元前 3000 年のメソポタミア文明にまで遡ると言われています。現在普及している楽器の原型が作られたのは 1853 年のこと。北イタリアのブードリオという小さな町の菓子職人ジュゼッペ・ドナーティが、それまでの土笛に初めて西洋音階を導入したものを焼き上げ、イタリア語で「小さなガチョウ(oca:ガチョウ rina:小さい)」という意味の「オカリーナ」と名付けたのが始まりだそうです。マンドリンと同 郷ですね。
 陶器のオカリナは全て手作りです。同じタイプのオカリナでも一本一本個性があって、音色も違うのですが、どの楽器も吹けば吹くほど深みのある良い音になっていきます。マンドリンも弾けば弾くほど・・・なので、同じですね。
 通常のオカリナ(シングル管)は音域が1オクターブ+6度(低いラ~高いファ)しかないので、楽曲によっては移調したり、曲の途中などで C 管、F 管、G 管など音域の異なる楽器を使い分けたりと工夫が必要(ややこしい!)です。それに、音が出しやすい半面、気温や吹きこむ息の強さによって大きく音程が変わってしまうので、少人数でも合奏で音を合わせるのはなかなか大変(遣り甲斐?)。こんなふうに、極めるには奥が深~い!ところもマンドリンと同じです。
 最近は、音域が約2オクターブや約3オクターブという複数管オカリナを使って、曲の途中で楽器を持ち替えることなくクラシックの名曲を演奏するなど、アクロバチックな奏法を楽しむ奏者もいるようです。すごいですねぇ。でも、やっぱり私は、手作りの温もりが感じられる素焼きシングル管の、素朴で丸みのある柔らかいオカリナの音色を楽しむのが好きだなぁ~。
 相変わらずの練習ぶり(フリ?)なので、現状維持もままならず・・こんな感じですが、マンドリン合奏の醍醐味とは違うオカリナ合奏の味わい、土の響き」をゆったりと楽しんでいます。