立川マンドリンクラブ会報 第49号2014.06.21発行
歌劇「セビリアの理髪師」序曲(1816)
作 曲:ジョアッキーノ・ロッシ ニ 編 曲:久保田 孝        Conductor 初山 高志
  親の莫大な遺産を継いだ若くて美しい娘『ロジーナ』、ロジーナが持つ遺産目当てにロジーナとの結婚を目論むロジーナの叔父で医者の『バルトロ』、スペイン貴族でロジーナに一目惚れした『アルマヴィーヴァ伯爵』。この3人と、通りすがりの理髪師『フィガロ』が織り成す笑い満載のドタバタ劇・・・これが歌劇「セビリアの理髪師」です・・・面倒だし長くなるのであらすじは書きません(苦笑)
 この歌劇は、ロッシーニによって1816年に作曲されたものですが、この歌劇には続編があります。ご存知の方も多いと思いますが、それが、モーツァルト作曲の歌劇「フィガロの結婚」です。但し、歌劇「フィガロの結婚」は1786年の作曲ですので、続編とは言っても、発表は歌劇「フィガロの結婚」の方が先です。
※ 歌劇「セビリアの理髪師」はロッシーニよりもずっと前にジョヴァンニ・パイジエッロが1782年に作曲していますので、実は歌劇「フィガロの結婚」よりも前に歌劇「セビリアの理髪師」がありました。しかし、現在では歌劇「セビリアの理髪師」と言えば、もっぱらロッシーニの作品の方になっています。 さて、歌劇「セビリアの理髪師」序曲は、この歌劇をどのように短く表現しているのかと申しますと・・・以前に練習時に申し 上げましたように、全く表現していません。
 歌劇「セビリアの理髪師」の序曲は、1813年に発表された歌劇「パルミーラのアウレリアーノ」の序曲をそのまんま使っていると言われています。ロッシーニ先生、忙しかったのか、それとも、面倒くさかったのか・・・しかも、ロッシーニ先生、この歌劇「パルミーラのアウレリアーノ」の序曲を歌劇「イングランドの女王エリザベッタ」の序曲としても使っちゃいました・・・まぁ、3曲ともご自分の曲ですからいいんですけど・・・
 当時の歌劇場は、いわゆる「社交場」でして、今みたいに開演10分前や5分前に観客がきちんと席に付くなんてことはなく、観客はロビーで延々と世間話に花を咲かせていたようです。今でこそ、様々な歌劇の『序曲』は、それ単独で演奏される機会も多く、人気の作品も数多くあります。下手すると、グリンカの「ルスランとリュドミラ」のように現在では序曲だけが有名になってしまったものもあります。しかし、もともと「序曲」は、ロビーで話し込む観客に対して、『これから歌劇が始まりますよ?。みなさ?ん、早くお席について下さ?い。』というアナウンス。つまり、開演前のベル」のようなものでした。ですから、観客の注意を引き付けられればそれでよいということであれば、別に他の歌劇の序曲を使い回しても問題なしということなんでしょうね。