立川マンドリンクラブ会報 第482014.04.13発行
第 24 回 日本マンドリン独奏コンクールへ参加します Conductor Mandolin 高津良幸
 きっかけは、6年前にドイツで開催されたギター・マンドリンのセミナーに参加した経 験です。約1週間それこそ朝から晩まで、ドイツの音大の教授やプロのマンドリニストが 指導します。個人レッスン、合奏指導、楽典、指揮法の指導、アンサンブル指導など様々 なプログラムを本当に安い費用で受講できます(州から補助が出ているので)。
 私はこのセミナーのことを、立川に在籍していた(休会中?)坂口さんからお伺いして、 大変興味を持ちました。セミナーに参加したいので、窓口になっていた片岡道子先生に連 絡を取りました。片岡先生にお会いしてお話を伺う中で、軽い気持ちで独奏の個人レッス ンを受けることにしたのです。
 セミナーに参加した後は、自分が指導者の一人となって、立川で同じような活動ができ たらいいなあって思いました。そのために、マンドリンを一から学ぼうと決意しました。 一人で指揮者と演奏家をするようなものなので、独奏はまさに最適です。そして勢いでコ ンクールに参加しました。
 また、セミナーの最後の発表会で、ベネズエラ人のエンデル君という若者にギター伴奏 をしてもらって、ラニエリの『ワルソーの想い出』をドイツ人(セミナー参加者の保護者や 家族)の前で演奏したこともコンクールに参加した一つの要因です。エンデル君と片言の英 語と音楽用語でコミュニケーションをはかり練習したのも楽しかったです。完璧にほど遠 い演奏だったのに、今までにない盛大な拍手を受けて、大変感激しました。
 ミスタッチをしても、下手でも、情感をこめて全身全霊をかたむけて演奏できればいい んじゃないか。そんな風に割り切って、何事も経験だという軽い気持ちでコンクールに参 加することにしました。

 4年前のコンクールは、あまり覚えていませんが、関東地区予選で、立川のみなさんに 「よかった」って言われたのがうれしかったし、審査員の一人が10点満点をつけてくれ たことで満足でした。そしたら、4人目の予選通過者として、二次予選に出場することが でき、東京で開催された二次予選。あれよあれよという間に本選に進むことになったので す。間際になって本気で練習した感があり、本選の課題曲は自信があったのですが、自由 曲の『ワルソーの想い出』は練習が足りませんでした。あの時、立川の皆さんから大きな 拍手をして頂いたことが、本選まで繋がったと今での感謝しております。
 2年前は大阪で、開催されました。最後のつもりでコンクールに挑戦しました。だいぶ 落ち着いて演奏できたので、関東地区予選を無事通過することができました。大阪での二 次予選・本選。自由曲のカラーチェの『協奏曲第2番』は自分なりに仕上がっていたので、 この曲に全身全霊をかけようと思いました。間際になると、慌てて焦る質で、暗譜してる か音を確認したり焦っていました。他の出場者と一緒の控え室で、何かハイテンションに なって全力で(本番以上に)何度も何度も練習していました。しかも、二次予選に通らない と演奏できない本選の自由曲も思いっきり練習していました。
 本番直前に、練習室でピアノと合わせるのですが、そのときも本番のつもりで全力で練 習しました。「よし何とかなるかも」。そのまま舞台袖へ。最後に調弦をしたときE線が狂 っていたので、直さなきゃ。あれ、堅くて動かない。グイッ。あれっ。無理な体勢で力を 入れたので左腕の前腕部の筋を痛めてしまいました。左手の小指と薬指に力が入らなくな りました。!
 本番では、小指の押さえが1フレット分外れて、大事なところでたくさんミスタッチを しました。「ああ、とにかく終わったな」。終了後の正直な気持ちです。片岡先生からは「別 にどんなミスをしてもいいんだけど、高津さんらしい演奏ができなかったのが本当に残念」。  審査員の高橋先生からは「あなたの音の出し方が好きなのにどうしちゃったの?」
 この経験はとてもよい教訓になりました。演奏会前に、あまり真剣に練習するのは、本 番にエネルギーが残らないし、よくないです。若い青山涼君は、控え室でも一度も楽器に さわっていませんでした。

 今回、また挑戦しようとするのは、その時の不完全燃焼があるからです。ソチオリンピ ックで・西選手が大活躍したように、年齢を気にすることは全くないです。結果はどうあ れ、もう一回しっかり準備をして、本当の最後にしようと思います。関東地区予選は8月 3日(日)ティアラこうとう・小ホールで開催されます。もしお時間がありましたら、また 応援して頂けますとうれしいです。