立川マンドリンクラブ会報 第47号2014.01.12発行
クボタ フィロマンドリーネン オーケストラの韓国演奏会に参加して
     Guitar 日 隈 永 治
 大学の演奏終了後、現役と共に飲みに行った席で久保田氏より 6 月下旬予定はありませ んかと聞かれ、何も気にせず「大丈夫です」と答えたところ、それではギターのメンバー が少ないのでフィロ韓国演奏会に参加しませんかと言われてしまいました。大丈夫ですと 答えてしまったので断り切れず、また久保田さんの親切心からの申し出とも考え参加する こととなりました。
 演奏曲目は4曲で、いずれも過去に演奏した曲であること、また 5 月から 6 回くらい練 習したと思いますがギターパートは常時5~6名練習に参加していました。ただ 6 月の中 頃受領したメンバー表ではメンバー総数22名中ギターは私を含め3名で「イセアーナ」 は曲の中にギター三重奏があるので頑張らねばとちょっと緊張しました。
 6月28日(金)朝7時30分羽田空港に集合、演奏会の行われる水原(スウーモ)へ。 ホテルに荷物を置き博物館で歴史を勉強し世界遺産の「水原華城」を見学しました。
 6月29日(土)朝7時半ホテルに一室に集まり練習し、フェスティバル会場へタクシー で移動。フェスティバルには韓国から10団体、中国から1団体(久保田氏の教え子であ るキム・ヘギョンさんが中国で指導する)そして日本からフィロの計12団体が参加しま した。出演者は各団体とも年齢はやや高めで女性が多いような気がしましたが揃いの衣装 で曲目もクラシックからポップスまで様々で楽しく華やかでした。6団体の演奏が終了し た後昼食。昼食後会場に戻り心の準備をしていよいよ出番、フィロは大トリで他の団体よ り長い時間演奏しました。曲目は ①「交響的前奏曲」②「亡き王女のためのパバーヌ」 と久保田氏作曲のと③「イセアーナ」④「幻想曲第 1 番」 でした。演奏終了後フェステ ィバルでは初めてだったそうですが、スタンディングオベーションと大きな拍手がり、予 定外ではありましたが突然アンコールで「幻想曲1番」を弾きました。

 演奏終了後、地元で1番おいしいといわれる焼肉屋で焼き肉(但し豚肉)を食べました。 6月30日(日)最終日、ソウルの明洞で3時間程度ショッピングと観光の自由行動。夕 方東京羽田空港に到着し解散。初めて話をしたメンバーの人達にも暖かく迎え入れてもら い楽しい3日間でした。
 今回フィロは正規のメンバーの約半数での演奏でした。年齢は20代後半から30代前半 の人が多かったと思います。演奏した曲も人数がいた方が良い曲がほとんどでしたが、にも かかわらず韓国の演奏は立派な演奏だったと思います。コンマス、コンミスの3名(フィロは複数で演奏会ごとに交代で担当)が1st、2nd、マンドラ を担当し、チェロ、ギターはトップが参加、コントラバスも賛助が参加し、 部員の人も弾ける人達でした。指揮者と部員の意志が統一されリズムも表現もしっかりし ていて、安心して楽しく弾き事が出来ました。立川マンドリンクラブと比較すると個々の 技術は大きな差がありますが、音楽に対する気持ちや情熱では負けてはいないと思います。 みんなが意志を統一して音楽を作っていけば大きく成長するものと考えています。がんば りましょう。


[蛇足]
 本当に才能があれば別でしょうが、音楽・スポーツ・絵画或は勉強(学問)等習うことそして、本 当に良いものを見聞きすることが重要だと思います。
 まず、何が正しい表現なのかを勉強することが重要だと思います。日本に洋楽が入って100年 以上たちましたが、日本人は音楽の常識が欠けているということだと言われています。例えばモー ツアルトであればフォルテはあまり大きく弾いてはいけない、繰り返しは2回目は1回目より小さく弾 かなければいけない等でその枠を外して演奏するとおかしい演奏になると言うことだそうです。
 最近私が考えますのは、気持ちを込めて引くということはどういうことだということです。言葉を変 えていえば音楽における品格とは何かということになります。
 一人でギターを弾く時演歌を弾くことも多々あります。楽しみで引いているので自分勝手にここは 感情を込めてこう弾こうと考え遊んでいますが、多分第三者が聞いたら鼻持ちならぬ演奏と言われ るでしょう。
 人に聞いてもらう演奏は、出来れば聞いている人たちと感動を共有することに最大の目的がある のではないでしょうか。そのためにはきちんとした音楽を目指す必要があるのではないでしょうか。 社会人の団体(特に立川MCのような)で難しいのはどのような音楽を目指すのか明確になって いないこと、そして団員の人たちの音楽の好み、経験、技術のレベルが千差万別であることにある と思います。
 私は前々から申し上げていますが、合奏では音楽を作っていくのは演奏者ではなく指揮者で す。指揮者が曲をどのように表現するかを決めそれを楽団員に指示して曲が出来ていくと考えて います。
 指揮者を無視すれば、演奏者の経験に差があり、感性も、リズム感も技術もバラバラなそして50 名を超える演奏者のいる立川では絶対人前で演奏する曲には出来上がりません。演奏者任せの 指揮は絶対できないということです。演奏のすべての責任は指揮者にあり、演奏者に意図するとこ ろが伝わらなかったり、あるパートがバラバラであれば(指揮者の指示を守らなければ)指摘するべ きであり、指摘しなければそれは指揮者の責任です。また各パートリーダーはメンバーに指揮者の 意図を徹底することが必要です。
 各演奏者は練習時指揮者の指示を聞き楽譜に記載し守る必要があります。
 当部は楽譜に記載していない人が多いように思います。音楽の指示はテンポ、音量、音色等々 色々数多くあります。みんなが守らないと音楽にはなりません。
 個人の演奏技術の向上は時間もかかりますが、少なくとも速度が変わる時など練習時絶対に 指揮者を見なければいけない、指揮者の指示は必ず聞く、指揮者が指示等をしているときは 私語を慎み音を出さない(合奏練習は個人練習の場ではない、たとえチューニングでも)等々の 基本的なところは今すぐできることだと考えます。
 ぜひ実行していただきたい。