立川マンドリンクラブ会報 第47号2014.01.12発行
イタリア演奏旅行に参加して 1st Mandolin 山 本 和 央
 昨夏、幸いにも本場イタリアでマンドリン合奏する機会に恵まれました。私とマンドリ ンの師を同じくする兄弟弟子で、千葉でマンドリンアンサンブルを率いるコンミスのお誘 いによるものでした。8 月 22~30 日まで 9 日間の日程で総勢 30 名のメンバーで、イタリ アのシエナとフィレンツェの教会でマンドリンを演奏してきました。

 学生時代から長くマンドリンを弾いてきまして、ずっとやりたいと思っていることに次 の 3 つがあります。
・シチリア島タオルミーナのサンドメニコパレスホテルに泊まって、このホテルで演奏し ている世界一美しいと言われるタオルミーナマンドリン合奏団の生演奏を聴くこと
・私のマンドリンが作られたナポリのカラーチェ工房を訪れること
・そしてマンドリンの生まれたイタリアで演奏すること
 昨年このうちの最後の一つがやっと実現しました。

 国内での演奏会出演経験は数多くありますが海外演奏はいまだ経験がなく、生涯一度は 海外で演奏してみたいものと思っていました。海外演奏は自分の努力だけでは実現できな いことで有難いことです。


ホテルロビーのポスター                      シエナの教会での演奏の様子
 演奏会は
・シエナ:サンタ・マリア・ポルティコ・フォンテジュスタ教会
・フィレンツェ:サント・スピリト大聖堂
 で行われ、ヴェルディの「ナブッコ」など数曲を演奏、どちらの教会も満席状態でした。シ エナでは当地でシエナマンドリン合奏団を主宰する Angela Castellarin さんに大変お世話に なり、またフィレンツェでは現地の日本人会の方々が大勢来場され、アンコールを急きょ 童謡集に変更して大変喜んでいただけました。

 特にフィレンツェのサント・スピリト大聖堂は 17 世紀のイタリアの彫刻家ベルニーニを して「世界で最も美しい教会」と言わしめた教会で、ミケランジェロ作と言われる木製のキ リスト磔刑(たっけい)像があることでも有名です。もっとも私たちは演奏することに夢中 で教会内をじっくり見てまわる余裕はありませんでした。

 教会での演奏は残響が大きく音が重なってワンワン響く感じがします。会場に多くの人 が入ると人間の凸凹や衣服が反射音を吸収し残響の影響が少なくなります。残響の大きい 教会ではコード進行や音程変化の激しい速い曲よりゆったりした曲が美しく聞こえるよう に思います。

 イタリアは今度で 5 度目の旅となりました。今回の旅行、何より長年の夢であった海外 でのマンドリン演奏を実現でき、観光の面でもシエナ、サンジャミーノ、ボローニャ、モ デナといった行ったことのない町を散策でき、またローマ、フィレンツェ、ピサ、ミラノ では前回できなかったことをいろいろ経験でき、思い出に残る旅行となりました。 最近はいろんな団体が海外演奏の企画を立てておられるようです。海外での演奏をご経 験されている方もきっとかなりいらっしゃると思いますが、いろんな機会をとらえて多く の方が参加され見聞を広められてはいかがでしょうか。