「この間のコンサートは、ちと骨が折れたなぁ、ほら何だっけかな?」
「あぁ、ミニコンサートね。私もちょっと冷や汗タラ~リ。」 「オレたちの住みかは立川マンドリンクラブだけど、たまにメンバーの顔を見に出てくるのも悪くないよな。」 「そうねぇ。気持ち良さそうに弾かれてたわよ、私。」 「何せふだんは、もっとチビのマンドリン弾いてる2人だから、でかいオレたちを必死に抱えこんでたよな。」 「そうそう。弦の間でピックがよろめいてたわよ。」 「もっとピックをしっかり持たなきゃいかん! 音が前に出てこないぜ。」 「楽器を支える右腕は、いつもの場所じゃあ表板の穴にピックが届かないわよ。」 「チビのマンドリンより、もうちょっと腕を伸ばして、しっかりとピックを使った方が、いいようだぜ。」 「でも、唯一の低音部だから、一生懸命大きな音でリズムを作ろうとしてたわよ。」 「あぁ、その努力は買ってやろうじゃないか。」 「でも私達ドラに限らず、楽器仲間は誰でも、楽しんで弾いてもらえるのが一番!」 「その点から言やぁ、この2人、昔からドラを弾いてみたかったらしくて、チョ~楽しそうだったなぁ。」 「私も、ちょっとからだがこそばゆかったけど、楽しかった!こんなドラ初心者に弾かれるのも、悪くないわね。」 「おいおい、この2人、またやりたい! なんて言ってるぞ~~!」 ギターとケース Josephus Massaguer, バルセロナ1758年 マンドラ Antonius Bachmann, ベルリン18世紀半 ベルリン楽器博物館所蔵 |