立川マンドリンクラブ会報 第31号2010.01.06発行
「ギター小事典」(3)~近代ギターの開花~Guitar 小池 久夫
 ギター復興に輝かしい伝統をもつスペインは沈滞気味にあったギター音楽の世界にまた一人の偉大な人物を送り出した。
フランシスコ・タルレガ(1852~1909)
ヴァレンシア生まれ、ある資産家の援助でマドリット国立音楽院に入学卒業後アルアンブラ劇場での演奏で大成功を得て以来、主要都市で演奏会が開かれ、従来見られなかったような新鮮で独特の演奏を示すタルレガは、ギターのサラサーテとして絶賛の声に迎えられた。
 若い頃より持病の眼疾(ひどい逆まつげだといわれる)に悩まされ続け、晩年は爪にも欠陥(血栓)を生じ指頭のみで奏法することを決意、バルセローナで実際に演奏会を行う。
 従来のアグアド派の奏法から離れ、白紙の状態からギターの可能性、表現力を極限まで追求し、傑出した門下生等(プジョール、リオベット、ロッチなど)に受け継がれ、20世紀のギタールネッサンスを生むことになる。
「現代ギタリスト」から
ミゲル・リヨベット
(1878~1937)バルセローナ生まれ、
 故郷カタロニア地方の民謡を基にして作られた独奏曲は他にその比を見ない優れたもの。
エミリオ・プジョール
(1886~?)レリダ州グラナデリヤ生まれ、
 最初バンドゥリア(スペイン風マンドリン)を学び、合奏団の一員としてパリ博覧会に出演、大統領の注目を受ける。
アンドレス・セゴビア(1893~1987)
アンダルシア生まれ、最大の巨匠であり不世出の天才と称される。グラナダで最初の演奏会は14歳、1929年と1959年に来日。
 演奏旅行以外に、キジ音楽院に続いてスペインのサンチャゴ・デ・コンポステーラで後進のためギターレッスンを行っている。
(YouTubeで検索するとその レッスンをいくつか見られます)
(映画「セゴビア」を見に行ったその帰り道、あまりの住む世界の違いにがっくり肩を落とした記憶が。)
サインス・デラ・マーサ
(1897~1981)スペインのブルゴス生まれ、
 16歳でマドリッドのアテネオ劇場でデビュー以後マドリッド音楽院教授。「アランフェス協奏曲」を初演、レコーディングした。
マリア・ルイサ・アニード
(1907~)アルゼンチン生まれ
 父から与えられたタレガ遺愛の銘器トルレスによる最初のリサイタルがブエリスアイレスで開かれ、十一歳のアニードは聴衆の絶大な拍手に迎えられた。1954年に来日、作曲家としても極めて有能です。