立川マンドリンクラブ会報 第31号2010.1.09発行
「11月14日の日記」Guitar 梅津祐二
 第28回定期演奏会も成功裏のうちに終わった。今回で3回目の参加だった。1年間の練習成果を聴いてもらう機会なので、緊張してこの定期演奏会を迎えたのは自分だけではなかったはずだ。でも、昨年とは少し違った自分がいたようだった。
長距離を走る人々のなかで「ランナーズ・ハイ」を感じることがあるとよく言われる。脳内麻酔物質(β―エンドルフィン)の分泌が起因して走っているうちに苦しさを超越して雲の上を走っているような気分を味わうことになると言われている。最近スポーツジムでベルトの上を走ったりしているが、苦しいのみで「ランナーズ・ハイ」などは経験したことがない。
 よくわからないけれども、今回の演奏会で「山河緑照」のエンデイングにさしかかりダウンストロークで「ジャ・ジャ・ジャン、ジャ・ジャ・ジャン、・・」を演奏している際、隣で演奏している江崎さんと同調のステップを踏みながら、日隈さんの大きな背中がゆさゆさ揺れている様と、初山さんの激しく振り回すタクトをチラッと見ながら、小池さんからいつも注意されている「大きな音で」を実行し楽器を懸命にかき鳴らしている自分の姿が脳みそのどこかに残っている。
 演奏が終わって聴衆のみなさんからの大きな拍手、そしてよく聞き取れなかったが、賞賛の声も耳に飛び込んできた。会場全体のベクトルが同一方向に大きなうねりとなり動いていたようにも感じたし、そして無我夢中、我を忘れて夢の中、陶酔の境地にいるのと近いものを感じていた記憶も残る。これはなんだったのだ! 
 「プレヤーズ・ハイ」(この言葉はどの辞書にもないようだが)といえるものではなかったのか。長く演奏する者が感じる、演奏を続けていけるモチベーションになるのかもしれないと思った。クラブのみなさんも似通ったこんな感じを味わったりしているのではないかな。クラブ活動・クラブライフが好きだというひとつにこんなこともあるのかなあと思った。今日は心地よく疲れたな。もう寝よう。