立川マンドリンクラブ会報 第31号2010.1.09発行
こんにちは。相川裕子ですPianoforte & Mandolin 相川裕子
 私は3歳からピアノを習い、その道を目指して毎日練習していましたが小学校6年生の時に先生から「手が小さいから芸大は無理ね。」と言われてしまいました。その後もピアノは続けていたものの結局津田塾大学に進み『一橋・津田塾マンドリンクラブ』に入りました。そしてギターの音色の温かさに憧れてギターパートにしました。ステージでの孤独なピアノの演奏と違い、マンドリンクラブでは合奏の楽しさ、ハーモニーの美しさを知りました。しかしここでも再び手の小ささのためにセーハが大変で苦労も味わいました。週4回の練習や年3回の合宿、年3回の学祭でのマンドリン喫茶、杉並公会堂での定期演奏会と多忙でしたが楽しい思い出です。卒業後は丸の内でキャリアウーマンをしていましたので、すっかり音楽から遠のいてしまいました。

 そのご月日が流れ、10年前日野の広報でマンドリンクラブの会員募集を見つけ、懐かしくてすぐに見学に行き雰囲気が気にいって入りました。月2回の練習でこれなら仕事や育児と両立すると思ったからです。そしてやっと手の小ささがハンディにならないマンドリンにたどりつきました。クラブの人たちは皆親切で私をいろんな演奏会に誘ってくれました。立川マンドリンの演奏会にも行き、豊田さんの哀愁をおびた音色の美しさとクラブの楽しい演出に心惹かれました。月4回の練習で年2回の合宿と定期演奏会とちょっと気重でしたが、2年間考えてからこちらに入れていただきました。4年前のことです。

 さて、今回のピアノのお話ですが・・・・・長く休んでいて少し引け目を感じていた私に代表の鹿野さんが「久しぶり。どうピアノ弾いてる?」と声をかけてくれました。どうして知っているのかな。私が合唱団でピアノの伴奏していることと思いながら「はい。」と答えました。「そう。じゃ、ピアノ、家にあるよね。」「ん?はい。」「話は早い。伴奏してくれる?」「え?」「楽譜渡すね。」「何曲ですか?」「1曲」「ふうふん。じゃ一度家で弾いてからお返事しますね。」と言ったのに帰りの挨拶で「ピアノ相川さんが引き受けてくれました。」「ええっえ?」 その後皆さんにはやし立てられて、はっきりいって話が早すぎて私にはついていけませんでした。6月の合宿前のお話です。でもその時いただいた『山の印象』は伴奏らしい伴奏曲でしたので1曲とはいわないなと思いながらも、お引き受けしようと思いました。ところが合宿で「もう1曲あるんだよね。」と渡された曲は『動物の謝肉祭』でした。これも組曲、でもそんなことよりもこっちは本格的なピアノ曲で-速度も速い。毎日ピアノを弾いているといってもゆっくりの『アベマリア』やサザンの『TSUNAMI』とは全然違います。昔のように毎日スケール練習やハノンなどをして指を柔らかくし、つぶのそろった柔らかい音にしないと弾きこなせません。4か月ちょっとで指づくりが間に合うかなというのが一番のわたしの恐れていたことです。悩みましたが、でも私が頑張ることでみんなが喜んでくれるならとお引き受けしました。

 ピアノの世界は1日弾かない3日前に戻るといわれているぐらいで、あのロールピアノを持って旅行に行く人もいるとか。私の場合長年スケール練習から遠のいていたため薬指がかなりかたくなっていました。が幸いなことに2月に引っ越してピアノの調律はしてありましたし、3畳の音楽室で邪魔されず練習はできました。またヤマハのアップライトピアノにサイレント機能の機械をとりつけてあったので、朝晩も弾くことができました。それで最初のうちは夜4,5時間ぶっつづけで練習して、次の日小指が腫れてしまうことがたびたびあり小指を痛めてしましました。これでは演奏会まで指が持たないと焦りました。そこで閃きました。『1日を朝昼晩の3回に分けよう!そして1回の練習は1時間強まででやめようと。そうしたら短い期間も3倍になるじゃない。』こうして練習しているうちに徐々に小指も治り心配事が1つ減りました。一時130ぐらいの速さで謝肉祭のフィナーレの例のところを弾こうとして豊田さんに「どうしてそんなに速く弾きたいの。」と不思議がられましたが右の小指が痛くて力が入らずゆっくりだと不均等になってばれてしまうのでここはスピードでごまかそうとしていたのです。へへ

 いよいよ演奏会当日。リハーサルはかなり孤独で焦りました。指揮者とピアノが離れている上に指揮者を見る角度にちょうどライトがまぶしく大事な指揮者とのアイコンタクトがとれませんでした。またピアノが立派なために譜面台のわきから少し見えるはずの指揮者がほとんど見えず、みんなの音も横のフルート以外聞こえませんでした。リハーサルが終わってから急いで伊藤さんと一緒に、ライトの向きを変えてもらったり明るさを絞ってもらったり、また譜面台をずらして譜面の高さを低くする裏ワザを矢島さんに教わったりして本番に臨みました。
 本番はリハーサルとは違い、指揮者も良く見え、アイコンタクトもでき、また客席も雨の後にもかかわらずいっぱいだったので、みんなの音もよく聞こえて集中して楽しく演奏できました。ま、ミスはごめんなさい。でもピアノが目立つところだけは丁寧に弾いたつもりです。

 最後になりましたがいつもいろいろ調整をしてくださった鹿野さんをはじめ、最後まで私を見守ってくださった皆さんこころから感謝しています。練習室の座席をピアノのまわりに作ってくれたり、温かい言葉等をかけてくださった皆さん本当にありがとうございました。そしてはらはらさせてしまった皆さんごめんなさい