立川マンドリンクラブ会報 第30号2009.11.07発行
「上がる」についてMandola渡辺晃世
このたび、クラブ会報に「上がる」についての原稿依頼がありました。
腕が上がる、成績が上がる、給料が上がる・・・ではなく「舞台で上がる」についてです。自分の場合について書いてみたいと思います。

大合奏の一員として後ろの席で演奏する時・・・
 これはあまり上がりません。むしろ演奏を楽しみ、客席に知人が来ているか探す余裕まであったりします。もし間違っても知らん顔していればいいし、ただ緊張して、舞台に上がる時スカートのすそをふんずけて楽器もろとも転んで周りの譜面台をなぎ倒さないよう注意しなくてはいけません。上がり度は小です。

次に大合奏でも前の方の席や、客席側に座った場合・・・
 これはやはり緊張はしますがお客様は私だけを見ているわけではないですし、自信の無いところは弾く振りしてごまかせるし、皆で演奏するというのは本当に心強いです。よって上がり度は中です。

そして自分一人で演奏する場合・・・
 これは私がレッスンに通っている片岡マンドリン研究所の発表会に出るときです。リハーサルもありますし、前日自宅で衣装を着て、入場、お辞儀から退場まで一通り練習もします。楽器よ~し!衣装よ~し!リハーサルよ~し!ですが、いざ本番となると昨日までの余裕はどこへやら、
まず、舞台に入った瞬間、→全員が私を見ている(顔がひきつり、頭真っ白、うわぁ~ど~しよう~)→体がコチコチ、指が動かない(なんかロボットになったみたい)→どんどん速くなる(誰か止めて~)→半ばヤケクソ(もうどーにでもなれ~)→後悔(もっと練習すればよかった)→めでたく終了(やっぱり出てよかった!)とわずか1曲のうちにこのように変化するのです。
これでは平常心なんて無理。よって心の動揺、上がり度は特大です。

 数少ない経験から言えることは、実力は今更どうしようも無いのでとにかく 顔は微笑んで、態度だけは堂々としていよう。そして深呼吸して力を抜く、体を使って弾こう。これが少しでもできればと思っています。
しかし上がらないというのは永遠の課題です。
あとは場数を踏む、十分な練習、これにつきるのでしょうね。
「上がる」という大きな緊張は、日頃弛んだ自分に刺激を与える良いカンフル剤だと自分では良いように解釈しています。