立川マンドリンクラブ会報 18号2006.11.4発行<
「四季」編曲奮闘記(2)河邊奈津子
下手なコンピュータ演奏を聴いているうちに春の1楽章から始まるのはあまりにも当たり前すぎて面白くないような気がしてきました。ある意味聴衆を裏切って「あっ」といわせたい(!?)最初は「四季ってこんな曲だったっけ?」と思わせておいて途中で春の1楽章が聴こえてくると「ああ、そうそう!」というのが楽しいのでは・・・と考えました。それならば静かな冬の終わりから始まりしだいに温かくなり春になる、そんな情景が浮かんできました。ピックアップしてあるフレーズの中でそれに合うと感じたのは冬の3楽章の初めです。これで曲のおおまかな構成が決まりました。
それからはとにかくそれぞれの部分をどうつなげるかに悩みました。ひとつの曲として仕上げるにはテンポが速くて激しい部分とゆっくりで穏やかな部分がないと面白くありません。そしてそれぞれが長すぎずにうまくつながっていなければ飽きてしまいます。
原譜の順番にただ並べただけではうまくいかなかったので季節の中で楽章は前後させたりしました。いつも一番苦労するのは調の違う曲につなぐ部分です。作曲の知識など全く無いのでどうにかしてつなぐことを考えます。たった1小節決めるのに何日も悩んだりもします。

構成を考えながらパートの配分も考えます。メロディーはどのパートにするか、音の高さ、音量のバランス、ポジションに無理はないか、等々。そして実はギターパートについては、全面的に同居のパートリーダーに任せてしまいます。私自身はギターが弾けないので最初に私の好きなように楽譜を書きます。これは時として演奏不可能な場合があります。それを彼が手直しをする、という訳です。なのでギターパートが難しいのは私の責任ではありませんのであしからず?!これらの作業も時間がかかるのですがこの時は皆さんの顔を思い浮かべながら考えています。そしてできるだけどのパートも弾いていて楽しめる楽譜になるように心がけています。
「きっとこんな風に弾いてくれるんだろうな・・・」なんて考えながら。だからとても楽しい作業でもあります。
なんとしても夏合宿には第一弾を出さなければ皆さんの練習期間が短くなってしまう、と思い、6月中は子供が学校幼稚園に行っている時間はほとんど編曲にあてました。練習日も練習には参加せず、その時間は家事を放棄してパソコンに向かうことにしました。その時はパソコン部屋には出入り禁止、パパは子守り担当!今年は学校のPTA委員も引き受けていたり、幼稚園では夕涼み会準備係などもあったりで春からはそちらの活動も始まりとにかく時間が取れませんでした。(言い訳させてください)以前は子供がまだ小さかったこともあり昼寝のスキや夜寝付いた後に時間をとれたのですが最近は昼寝もしなくなり、朝も早く起きるのでこちらもなかなか夜更かしもできなくなりました。歳をとったせいか数年前は多少寝不足でも起きていられたのに最近はすぐに眠くなってしまいパソコンの前でマウスを持ったまま気づくと1時間ウトウトなんてこともしょっちゅう。途中で何度も行き詰まり、イライラして主人にあたってしまったり、鹿野さんに愚痴のメールを出したこともありました。「どうしても時間が取れない」と送ると「家事優先でいいんだよ。また愚痴メール下さい。」とまたまたこちらも優しいお言葉。涙、涙。。。
そんなふうにいろいろな方に助けられてなんとか音符を書く作業が終わりました。でもまたここからが一仕事。テンポ、音の強弱、奏法等を決めるのにも結構時間がかかります。それが出来たらスコアからパート譜を作ります。手で写譜するよりは早いのですがコンピュータというのは融通がきかないのでこれも意外に手間がかかるのです。もうこのあたりの作業になってくると私はヘトヘトになっていて場合によっては約1名の有能な(!?)サポーターにやってもらうことも多いです。(彼にとってはいい迷惑ですよね)
んな感じで「四季」は出来上がりました。(まだ手直しもありますが・・)編曲をしていて一番幸せなのは皆さんに弾いていただいた時です。それまでは味気ないコンピュータの演奏を嫌というほど聴いていて暗譜しているほどなのですが皆さんに弾いていただくと全く別の曲のように聴こえるのです。大げさなようですが、まさに魂が込められたような、曲が生きてくるのです。人間が奏でる音はやはり違うのです。それを聴いたときの喜びは毎回言葉にできないくらい感動します。いつもウルウルしそうになっています。その瞬間があるからついつい編曲を引き受けてしまいます。素人の下手な編曲なので弾きにくい部分もあるかと思います。そのあたりは高津さん、さゆりさんに毎回助けていただいていて大変感謝しております。

皆さん演奏会に向けてよろしくお願いします。私も今度は弾く方を頑張らねば・・・