日本マンドリン連盟では、独奏コンクールを1968年から2年ごとに開催し、今年10月7日に尼崎で第20回を行います。合奏作曲コンクールは1975年から始まり、1999年に第6回を開催しています。 しかし、《世界一のマンドリン合奏王国・日本》で期待するものは、何と言っても《合奏コンクール》です。合奏コンクールは80年ぶりの開催と言います。 初めに登場した相模原MCでは、古田さんはマンドラを担当していました。指揮者の小林淳子さんは、近年ますます指揮に磨きがかかり、とても音楽的な深みの増した演奏でした。吉水秀徳氏の作曲も質の高い円熟した作品でした。氏のプレリュードは1番から3番まであるとのことですが、立川MCでも取り上げてみたい魅力的なマンドリンオリジナル曲でした。演奏技術はアマチュアの演奏団体としては、最高のレベルに達していると思いました。 2番目に登場したE.テスタカルド は、私がマンドリンを始めた頃から指導者として活躍している有名な片岡道子さんの研究所の多くの門下生のうち、有志27名で結成している団体です。遠藤雅夫氏の作曲になる現代音楽曲を演奏されました。他の楽器にないマンドリンの特性・特質・特徴などを、最大限に的確に音楽性豊かに表現した素晴らしいものでした。 3番目に登場した 福岡M.オーケストラ は、円熟した室津秀明氏の指揮で、立川MCも第17回定期演奏会で取り上げた「華燭の祭典」を聴かせてくれました。立川で苦労した速い難度の高いパッセージの部分を、遥かに速いピッチで軽がると通り過ぎて行きました。 4番目に登場した リベルテ・マンドリン・アンサンブル の指揮は、2番目に現代音楽のソロで活躍した望月豪さんが担当していました。結果的にこのチームが優勝したのですが、その原動力は望月さんの指揮にあったと分析しています。曲は立川MCも第17回定期演奏会で取り上げた・お馴染みのバレエ組曲の抜粋です。私はマンドリン音楽に接する度に、音楽之友社が昭和41年に発刊した《標準音楽辞典》に「マンドリンは代表的なアマチュア楽器である」との規定が気になっておりました。しかし、この《くるみ割り》を聴いて「遂にここまで到達したか」という感慨を禁じ得ませんでした。そこには「ヴァイオリンに比べて」とか「プロとアマの違い」などという次元を超越した《確固とした芸術的な音楽世界》がありました。演奏技術は勿論ですが、実に楽しい気持ちにさせてくれる演奏なのです。今まで多くのヴァイオリン・オケの胡桃割りを聴いて来ましたが、むしろそれらより印象的で楽しい演奏でした。 最後に登場した 同志社女子中学・高校MC の「ダッタン人の踊り」の指揮は、広広川実沙さんという高校生のお嬢さんでした。上手で迫力のある演奏は満員の聴衆を魅了しました。昨年・奈良の《帝塚山女子中学MC》の創立40周年記念東京公演を聴く機会がありましたが、その演奏技術レベルの高さ・音楽性の豊かさは、同志社と同じく目を見張るものでした。日本の将来を引き継ぐ若い世代の女性の力強いエネルギーに、圧倒されるばかりでした。 1位・リベルテ、2位・福岡MO、3位・同志社の表彰の後に、最優秀指揮者賞がリベルテの望月豪さんに授与されました。 小松一彦氏は《指揮者》について 「練習時の指揮はトレーニング的な要素が多くなりますが、演奏会における指揮には、技術的なものの他に、《曲にこめられた命・思い・メツセージ》を、全身で表現して聴衆に伝えることが必要です」 と印象深い講評をして下さいました。表彰後のリベルテの《カヴァレリア・ルスティカーナ》のグランプリ演奏がまだ耳から離れません。 |