立川マンドリンクラブ会報 特別号2006.2.18発行
マンドリン合奏コンクール鑑賞記桑原 由貴
前日の嵐から一転、暖かい日差しに恵まれた1月15日、楽しみにしていた合奏コンクールに出かけた。練習を休んだことに少々の後ろめたさを感じつつ会場に着いてみると、既に入場を待つ長い列ができていた。新聞4紙に紹介されたとのことで、前評判もなかなかのようである。 予選通過した5組の演奏が始まった。

1番目は 相模原マンドリン倶楽部 の「プレリュード2」。立川でも候補曲となり練習した曲である。細かいところまで行き届いた演奏で、さすがだなぁと思う。
2番目は アンサンブル テスタ カルド の「マンドリン協奏曲『flick・flack・flow』1997」。マンドリンソロのあるアンサンブル(マンドリンソロ+1M,2M,D,C)による現代曲の演奏である。ソロの奏法でおもしろいものがあったり(音程を変えるのに調弦の時のように弦を緩めたり張ったりする)、アンサンブルのリズムが複雑(パートによって2拍と3拍を刻んでいる!)にもかかわらず、ピタリと合っていて、レベルの高さが感じられた。ただ一般的には受け入れられにくい選曲かなぁとも感じた。
3曲目は 福岡マンドリンオーケストラ の「華燭の祭典」。立川の定演でも演奏したことのあるこの曲、2楽章のメロディーが美しく好きな曲の1つである。メンバー構成は老若男女さまざまで立川の雰囲気と一番近かった気がする。熱のこもった演奏で好感が持てた。
続いて、 リベルテ マンドリンアンサンブル による「くるみ割り人形」より抜粋。演奏が始まるや音楽に引き込まれる。バレエの舞台が目に浮かぶような素晴らしい演奏である。ちなみに指揮は2番目のアンサンブルでソロを弾いた望月豪さんで、彼は、この日の最優秀指揮者にも選ばれた。
最後は 同志社女子中学高等学校マンドリンクラブ による「ダッタン人の踊り」。総勢70名を超える若いパワー溢れる乱れのない演奏に圧倒されたが、個人的には、立川の“ダッタン人”も「大人の演奏」で悪くなかったなぁと思った。そして、この曲には、やはりフルート・クラリネット・パーカッションが不可欠だとも改めて実感した。

審査は審査員2名による順位付けに、来場者全員の投票による順位も加えられるというユニークなものだった(審査員の藤掛廣幸氏の発案とのことである)。審査の結果、私も1票を投じたリベルテマンドリンアンサンブルが1位に選ばれた。リベルテによるグランプリ演奏「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲で閉会となった。
大編成と小編成による演奏が交互に配置され、曲もマンドリンオリジナルありクラシックありとバランスが良く、聴く側としては飽きることがなかった。演奏順は審査員のプラハ交響楽団客演指揮者小松一彦氏が聴衆に配慮したものとのこと。また、どの曲も演奏会のメインに取り上げられるような曲で、それらを素晴らしい演奏で聴くことができ、満ち足りた気分で家路に着いたのであった。
MUSIKCA MANDOLINO合奏コンクール東京 一覧表  (町野)
演奏順
団 体 名 ( 指 揮 者 )
曲    名( 作 曲 者 )
出演者
聴衆
小松
藤掛
順位計
順位
票数
順位
相模原マンドリン倶楽部  (指揮:小林淳子)
プレリュード2(吉永秀徳)
50
76
13
アンサンブル テスタ カルド(指揮:桜井至誠)
マンドリン協奏曲「flick.flex.flow」1997(遠藤雅夫)
21
62
11
福岡マンドリンオーケストラ (指揮:室津秀明)
華燭の祭典(G.マネンテ・中野二郎編)
51
142
リベルテマンドリンアンサンブル(指揮:望月豪)
「くるみ割り人形」より抜粋(P.チャイコフスキー/小穴雄一編)
19
157
同志社女子中学高等学校マンドリンクラブ(指揮:広川実沙)
ポロヴェツ人の踊り<ダッタン人の踊り>(A.ボロディン/佐田悟史)
77
136
10