立川マンドリンクラブ会報 第14号2005.10.29発行
「アンコール」伊藤 博
立川マンドリンクラブの定期演奏会のアンコールに、仮装をして指揮をするように.なったのは.第18回のアメリカ特集で《酉部劇のガンマン》になったのが最初ではないかと思います。これもすべて『立川MCのアイディア天才古田さん』の提案によるものです。
以来、第19回のフランス特集では《オペラ座の怪人》を、第20回の日本特集では《お祭りの半天を着てお祭りマンボ》を、第21回のスペイン特集では《闘牛士》を、第23回のイギリス特集では《チャップリン》を、今年の第24回シルクロード特集では、古田さんのアイディアで《アラビアのローレンス》の扮装で登場することになりました。

ところで【アラビアのローレンス】と言われても、詳しく知らない人の方が多いのではないでしょうか。そこで今回はこの人物の二とについて《井戸端会議》をしたいと思います。 この人の名前は正しくはトマス・ユドワード・ロレンスと言います。Lawrenceと書くので目本人は《ローレンス》と読んでしまうのでしょう。私もそう発音していました。
第一次世界大戦(1914〜1918)のさなか、1916年に英国陸軍のカイロ司令部に勤務していたロレンス少尉は、休暇を取ってアラブ民族の独立運動を応援します。当時トルコに弾圧されていたアラブ民族は、世界大戦を好機とみて各地で反乱を起こします。ロレンスは砂'漢の奥地に乗り込んで、戦術上の協力をしてアラブ民族に感謝されます。しかし、民族間の対立に阻まれ、ついには邪魔者扱いをされて、空しくイギリスに戻ります。

この出来事が1962年にイギリスで映画化され、63年には日本で公開されます。私も観た記憶があります。雄大なアラビアの景観を70ミリカラーの大画面に収め、主人公の情熱と敗北の空しさを良く伝え、スペクタクル映圃としてアカデミー作晶賞を受賞します。映画の中でロレンスはアラブ独特の民族衣装を着て登場します。立川マンドリンクラブ第24回定期演奏会のアンコールでは、私もこの民族衣装で指揮をすることになっています。

シノレクロード特集に《アラビアのロレンス》が登場するのは、天山山脈の南を行くシノレクロードの主要な道筋(天山南路)がアラブ諸国を通るからです。ではアラブの諸国・人々・言語とは、どの国々の人の話す言葉を言うのか、正確に答えられる人は少ないようです。私も《シノレクロード特集》がなければ調べることもなく答えることも出来ませんでした。
まず西からアフリカ大陸北部の地中海に接するモロッコ・アルジェリア・チュニジア・リビア・エジプト。次にアラビァ半島の北酉部で地中海に接するシリア・レバノンと、死海に接するヨルダン。紅海に接するサウジアラビア。ペルシャ湾に接するアラブ首長国連邦・イラク。カターノレの12ケ国を言います。これらの国の人びとが主にアラビア語を話しています。

そこで《シルクロード》をアラビア語で何と言うか知りたいと思い、図書館で《数少ない基本的なアラビア語と目本語の対比辞典》を見つけました。そこに何とアラブ諸国では生産されない筈の《絹》という言葉のアラビア語《ハリール》があったのです。《道》もありました。有から左へ横に書く独特のアラビア文字は難しくて書けませんが発音は判りました。大昔の《絹の道》が現代のアラビァ語に残っているのではないかと想像して嬉しくなりました。
シルクロード(絹の道)はアラビァ語で《ハリールタリ一ク》だったのです。